雅楽とは何か?

雅楽とは、千年以上前から主に宮廷音楽として伝承されてきた現存する世界最古のオーケストラです。雅楽の演奏には、西洋のオーケストラと違い、指揮者がいません。またそのテンポも、メトロノームのように規則正しく刻まれるのではなく、一定の法則による演奏者同士の呼吸によって作り上げられます。雅楽の演出法には、管・絃・打楽器による器楽合奏のみを行う「管絃」と舞を伴う「舞楽」があります。舞楽において、舞人の動きはあらすじだった具象的なものではなく、抽象的に表現されています。雅楽は音色、舞の動き、装束の色彩文様など、全体からその根底に流れる自然観・宇宙観を感じ取る総合芸術と言えます。


雅楽器の紹介

管弦の中心となる、笙・篳篥と龍笛の簡単楽器の解説を掲載します。
鳳笙 ホウショウ(Hou Shou)

 その姿から、鳳凰が翼を休めているようであることから「鳳笙」と称され、その音色は「天上よりの光」とされます。その音色は非常に不思議な優しい音です。雅楽においての主な役割は和音を奏し、ハーモニーを担当します。中国文明の、甲骨文字に記されているほど古くに発祥を持つ楽器です。


篳篥 ヒチリキ(Hitiriki)

 長さが15cmと小さな外見とは裏腹に非常に力強い音色をだし、その音をもって雅楽の主旋律を担当します。その音色は「地の人の声」とされます。非常にテクニカルな楽器で、正しい音を出すには多くの修練を要します。そのまことの音色は力強さの中にもしなやかさを併せ持つ奥の深い音色です。


龍笛 リュウテキ(Ryu-teki)

龍の笛の名の通り、その音色は「空を翔ける龍の鳴き声」とされています。広い音域をもち、装飾的な旋律を奏します。龍笛には「高麗笛(koma-Bue)」や「神楽笛(Kagura-Bue)」と呼ばれる奏する楽曲に合わせた笛があります。熟達していくうちにそれらの笛も修得していき、適宜持ち替えて演奏します。

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